評価
- ストーリー・・・7点
- 作画・・・7点
- 声優・・・8点
総合・・・22点(30点満点)
総評:マジメなきらら作品
地味でマジメながらも、味わい深い作品です。
地味が故に、取っつきにくく、見る側にコミットも求められます。
ですが、気に入れば愛着を持って接することのできる作品と言えます。
記録よりも記憶に残る、個人的にはそんな感じです。
地学・天文ガチ勢が集まる部活モノ
地学・天文を専門に扱うという点では、部活を触媒として日常を描くような作品とは一線を画しています。
文字通り専門用語が飛び交い、ともすればとっつきにくい印象すらあります。
ですが、この作品の主張はそこではありません。
その主張とはズバリ、同じ経験を通して皆が絆を深め、お互いを高めあうという青春群像的なテーマです。
この点でも、やはりきらら作品としては異質です。
若干「けいおん!」の劇場版に近いかもしれません。これは個人的な印象ですが。
「桜先輩」の成長から見えるこの作品の”絆”
僕がとくに見どころだと思っているのが、中盤の合宿で、実は宇宙飛行士になりたいという夢を「大それた」と語る真理に対して、美景が「夢を大それたとか恥ずかしいと言わないでよね」と、同級生として暗に激励する場面。
まさに、青春群像劇のはじまりともいえる場面です。
桜先輩こと美景が地学部という「場」を動かし、作品としてはそこで主軸を日常モノから青春モノへとシフトする場面でもあります。
その場で描かれるのは、まさしく友情であり「絆」です。
その後、美景は自分が「夢を持たない」ことをまわりと比べて独りよがりになるところを、遠藤先生含め部員たちに救われることとなります。
美景に関してはこの後、積極的に変化を描くことで作品としてのカタルシスにもつながっていますし、何よりも単純に「尊い」と感じられる作品となっています。
なので、勝手ながら僕はこのアニメ作品の主人公はみらではなく美景だと思っています。
絆はみらとあおの夢を後押していく
後はもう絆がストーリーを後押ししてくれます。
みらとあおの同居実現にはじまり、きら星チャレンジに「きちゃった・・・」のあお。
これを離れているところから応援する一同。
絆が物語を動かしています。これはこの作品の「描写の積み重ね」の成果だと思います。
いろいろとガチであるゆえに門戸は狭い
このようにマジメに青春を描いてしまったがゆえに、きららアニメファンに対しては需要と供給のミスマッチを引き起こした感が否めません。
門戸も決して広いとは言えず、ヒット作品とはなりませんでした。
ガチが故にストーリーは地味です。
この点をうまいこと言い換えれば、味わい深いともいえるのです。
欠点を述べるとすれば、ギャグにも現実にも振り切れない中途半端な薄味感はあります。これをどうとらえるかで評価もガラッと変わってくるでしょう。
そう、マジメがゆえに硬いのです。
きらら作品に自然災害が描写されてビビった
この作品のガチさは、きらら作品が災害を一瞬と言えども扱う点にもあります。
漫画原作者が茨城県出身なので、おそらく常総市の豪雨災害をモチーフにしたと思われる描写が登場しびっくりしました。
きららであるがゆえにそれは生々しいのです。
日常にある非日常です。
結構シビアですよ、これ。
桜先輩の笑顔に癒される
とはいえ、頑なな、振り返ってみれば人を不愉快にさせる恐れもあるほど冷めていた桜先輩の変化を描き切ったこの作品を評価したいです。
言い方を変えれば、きら星チャレンジという作品最大の山場がかすんでしまうのが難点ではあります。
山で言えば、剣のように急こう配な山道ではなく、尾根伝いの緩やかな道といった感じに。
きらら作品にも関わらず、地味で見る人にコミットを求める。
故に評価はパッとしません。ですが、積極的に関わることができれば、思い出深い作品となることでしょう。
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